ヴルスト

地元人がおススメする飲食店監修フランクフルト 九十九里ヴルスト

2014年9月28日

九十九里のお土産って何?

「北海道グルメ市」、や「信州おみやげフェア」などなど、地域産品が立ち並ぶ百貨店の催しに皆さんは足を運んだことがあるでしょうか。こうした催しは特に女性のハートをがっちりと掴む企画として、百貨店の集客手法として根強い人気を持っていると聞きます。ある地域の「特産品」、または「その地域でしか食べられない」、そんなフレーズに人はとりわけ強い興味をそそられるようです。

そんな地域の特産品は、「その地域でしか」というフレーズと矛盾しながらも、今や百貨店だけではなく様々な場所で見られるようになっています。上野と秋葉原という多くの観光客の拠点となるふたつの駅にオープンした地域特産品を扱う専門店「のもの」が人気を博しています。かたや、そうしたリアルな店舗だけではなく地産品はインターネット上でも広く手に入るようになり、気に入った商品をダイレクトにその地域からお取り寄せする、という習慣も少しずつ醸成されていっているかもしれません。様々な手法や場所を経由して顧客の手に届いた特産品はまさにその地域の顔。地域の魅力を伝えるいわば営業マンに他なりません。

さて、それでは我が九十九里の特産品ついてはどうなっているでしょう。

数々の魅力ある食品を使って少しスパイスの効いたお土産物を作りたい、自信を持って送り出せる地域の営業マンとしてのお土産物が欲しい。「九十九里ヴルスト」のプロジェクトはそのような想いと共にスタートしました。

ストーリーのある土産物の開発

土産物の開発をする上で、地域資源を活かすことを考えるのは当然のこととして、もう一つ着目した点が「ストーリー」でした。人に語れるストーリーがあること。そしてそのストーリーが、この先も紡いでいかれるような、地元にも観光客の方にも愛される商品を作りたい。そんな希望とマッチしたのが、他でもないフランクフルトでした。

コレカラ99の活動エリア内である九十九里エリアは海のイメージが強いですが、実は野菜や豚肉など様々な食品が生産されています。その中で、調べていると面白いことが分かりました。ソーセージの父と呼ばれる大木市蔵氏が横芝光町の出身だったのです。この大木氏は、明治時代にドイツ人ハム・ソーセージ職人のマーテン・ヘルツ氏に弟子入りすると、その後日本初のソーセージ・ハム・ベーコン類の専門店を銀座にオープンしました。第一次世界大戦、関東大震災、そして第二次世界大戦という激動の時代を生き抜き、戦前、戦後を通じて後進の指導にもあたり、後に日本のハムやソーセージ生産を牽引する創業者らを輩出しました。まさに日本のソーセージの生みの親といっても過言ではない方です。このストーリーと共に、九十九里エリアで生産された新鮮な豚肉を使って、九十九里ならではのフランクフルトを企画することにしました。

地域を知ってもらうための仕組みを

開発にあたり次に考えたのが、「どうしたら土産物をきっかけに九十九里をもっと知ってもらえるか?どうしたら再訪してもらえるだろうか?」ということでした。しかもコレカラ99という、名前も知れてない、食品加工のノウハウもない団体が企画したフランクフルトで一体全体勝負できるのか…。そこで、地元の若者に人気の飲食店に監修してもらい、フランクフルトのレシピを開発してもらうことにしました。そうすることで、フランクフルトを食べた方に、「これを監修したお店ってどこにあるんだろう?今度行ってみよう」と思ってもらえたら、と考えたのです。勿論、お店を入り口に土産物のフランクフルトのことを知ってもらい、地元の人がでかける際に手土産に買って行くという逆の流れも期待できます。九十九里エリアの各市町村1店舗を選び、それぞれ異なるフレーバーを開発してもらうことにして、まずは九十九里町、山武市、横芝光町に立地する3店舗に声をかけさせてもらいました。

開発の流れとしては、飲食店でまずレシピを開発してもらい、そのレシピに従って横芝光町で食肉加工業を営む「いちはら」さんに試作品を作ってもらいました。その試作品を試食して改良を重ねると共に、歩留まりやコスト、売値、食感を考えて最終的な商品のサイズを決定しました。

九十九里町の和食を中心とした食堂、はちどり食堂さん(残念ながら2014年5月に閉店)は九十九里産の塩を使った塩麹を効かせた塩麹フレーバーを、山武市の地産地消イタリアン、Ushimaruさんは千葉名産の落花生をふんだんに使った落花生フレーバーを、そして横芝光町で人気のモツ屋、おばこやさんは店の顔でもあるピリ辛のモツを使用したモツフレーバーを開発してくれました。

3つの飲食店の持ち味を活かした3つのフレーバーのフランクフルトが出来上がったのが2012年の秋。商品名は、九十九里産であることが分かるように、ストレートに「九十九里」、そして本場の美味しさ、クオリティの高さが伝わるようにドイツでフランクフルトを意味する「ヴルスト」を組み合わせて「九十九里ヴルスト」としました。

皆様へのお披露目は、地元の体験音楽祭、「山のおんぶ」前夜祭の場でした。そこからは、大雨に見舞われた2013年のアースデー東京、ミライカフェ1周年バーベキュー、そしてQVCマリンフィールドなど、大量のフランクフルトを携えて出店を重ねました。3つのフレーバーが1本ずつ入った3本セットで900円と、決して安価な商品ではないものの、一度買いにきてくださった方が「お土産用に買って帰りたいから」、あるいは「これは他にどこで購入できるの?」と戻ってきてくださるなど、商品自体の反響はとても良いものでした。なんとも有り難いことです。

ヴルスト

また、販売を開始するにあたり、パッケージや屋台のノボリなどのアートディレクションを、コレカラ99メンバーでもある、いすみ市在住グラフィックデザイナーの荒川慎一さんにお願いしました。さらに、かの大木市蔵氏のお孫さんを訪ね、大木氏のイメージをロゴとして使用することを許可していただきました。横芝光町のご自宅のお庭には、大木氏の胸像が建てられており、こちらを参考にロゴを制作させていただきました。

ヴルストロゴ

商品化への課題

こうして書いてくると順風満帆に思える九十九里ヴルストですが、屋外イベントへの出店を重ねる中で見えてきた課題はいくつもあります。まずはOEMで製造を担当してくださっている業者さんの手間と製造コストがあります。少量からのスタートなので必然的に製造コストはあがってしまうのですが、これは、販売量が増えていけばある程度は解消できる課題です。製造サイドにとって頭を抱えてしまう点となったのが「落花生」フレーバーの製造です。落花生は千葉の名産品ではありますが、同時にアレルギー食物として認定されている食品でもあり、ひどいケースになるとショック症状を起こして死に至る場合がある、という非常に神経を使わなければならない食品のひとつです。その落花生を、他の商品も製造している同じ製造設備を使ってフランクフルトに混ぜ込むのですから、都度、機械を掃除せねばならず手間は相当なものです。業者さんは常にリスクを抱えることになりますし、その上少量となれば尚更のこと。製造コストがあがってしまうのも無理はありません。

さらに、九十九里ヴルストは、実は「無添加」というところにこだわって製造していました。通常、市販されているハムやソーセージといった食肉加工品のほとんどは保存料などの添加物を入れています。コレカラ99では、近郊の養豚農家さんのこだわりの豚肉は勿論、落花生など使用している素材を可能な限り美味しい状態でお届けするために、無添加で製造してもらっていたのです。これは裏を返せば賞味期限の短さに直結します。特に屋外の移動販売などで売れ残りが出れば当然ロスとなってしまいますし、お土産物として直売所や小売店で販売してもらうにも、お店はロスを出さないよう慎重にならざるを得ません。九十九里ヴルストの売りでもある「無添加」をどうやってお土産物としての商品の賞味期限とバランスをとっていくか、まだ答えは見えていません。

ヴルスト

お披露目を兼ねた移動販売からスタートした九十九里ヴルストですが、今後お土産物として小売り販売をするだけでなく、実は九十九里エリアの飲食店でも「地元の特産品」として取り扱ってもらえないだろうか、と目論んでいます。お土産物として遠くまで旅するヴルストがいれば、地元に遊びにきてくださった皆さんをもてなすヴルストがいる。そのためには、地元飲食店の方々にも認めていただけるくらい、食味でもお値段の面でも魅力的な商品にブラッシュアップしていく必要があります。ヴルスト開発の道のりは、まだまだ続きそうです。

by nagisa

設立の背景
ミライカフェは革命のはじまり

LINEで送る